2023-07-10

検索結果を大きく左右する、Googleアップデートの変遷を考察する

Googleに関する記事

Googleのアルゴリズムに関するアップデートは追いかけられていますか?

Googleの検索アルゴリズムは定期的に更新が行われており、それにあわせてコンテンツ制作の際はその内容を考慮しなければいけません。

これまでリアルタイムでアップデートをキャッチアップしてこなかったので、時々自分のSEOに関する知識の古さに驚かされます。
「うわっ…、わたしの情報、古すぎ…?」

Google検索のアルゴリズムとは

Google検索で検索結果の順位を決定するためのルール、計算方法が「Google検索アルゴリズム」です。

大前提として、Googleは明確な評価基準を公開していませんし、そのルールは明らかにされていません。

SEOに有効とされ、多くのサイトに実装されている施策は、個人の経験や推測に基づくものが主流となっています。

Google検索アルゴリズムの詳細を把握することは誰にもできません。Googleの開発者や公式に発表されるガイドラインを参考に、現時点で有効とされる対策を愚直に実行するのが、もっとも確実で効果的なSEO対策と言えるのではないでしょうか。

スポンサーリンク

アルゴリズムのアップデート変遷

とはいえ、一部のメジャーなアルゴリズムアップデートは、Googleが公式に発表しています。
アルゴリズムのアップデート変遷を確認していきましょう。

ここで紹介するアルゴリズムのアップデート背景を知ること、内容を実践することはSEO対策として非常に重要です。

パンダアップデート Google Panda (2011〜)

パンダアップデート以前は、検索キーワードが大量に埋め込まれている、同じような内容で動的に生成されている、広告しか掲載されていない、そのような質の低いページでもテクニカルに対策することで、検索結果の上位に表示される場合がありました。
しかし、パンダアップデートによって、そのような中身のないSEO対策は通用しなくなり「コンテンツの品質」を踏まえて検索結果が表示されるようになりました。ページごとに品質スコアを割り当て、品質スコアをランキング要因として使用され、結果として質(品質スコア)の低いコンテンツが検索順位を大きく下げました。

他のコンテンツと同じような情報だけではなく、そのコンテンツの独自性が重要視されるようになったと言えます。2011〜2016年と長期間にわたり、何度もアップデートが行われました。

フレッシュネスアップデート(2011年)

フレッシュネスアップデート(Freshness Update)は、Googleの検索アルゴリズムのひとつであり、新鮮なコンテンツに対する重要性を強調しています。このアップデートは、特にニュース、トピック、イベント、トレンドなどのような頻繁に更新されるコンテンツに関係しています。

フレッシュネスアップデートによって、最新のコンテンツが検索結果でより優先されて表示されるようになります。これにより、過去の情報や長期間更新がされていない記事よりも、最新の情報にアクセスしやすくなります。
フレッシュネスアップデートは、ユーザーが最新の情報を得るためにより良い検索体験を提供するためのものです。したがって、頻繁に更新されるコンテンツや最新の情報を提供するサイトは、検索結果での表示順位を向上させる機会があります。

もっとも、情報が新しくないからといって上位表示されないわけではなく、キーワードによって判断されます。また、古くなったコンテンツについては、定期的に内容を書き直すことでコンテンツの新鮮さを保つことで対応することも有効です。

ペンギンアップデート Google Penguin (2012年~)

不自然なリンク構造やリンクスキームに依存しているウェブサイトの排除を目的とした調整が行われました。

以前は、多くのサイトからリンクされている=信頼性が高いという評価が大きく、多くのページからリンクされることで、 検索順位を上げることが可能でした。今では考えられませんが、被リンクを商品としたSEO業者、営業も多かったと聞いています。「御社のサイトに10,000のリンクを月額●●万円でリンクさせます」と言った具合です。大手の上場企業がそのような営業活動を行なっていたのです。

故意に検索順位を上げようとするリンク施策への取り締まりが行われたことで、外部リンクへの評価が変わり、購入した被リンクによって上位表示されていたサイトが順位を落としました。

ハミングバードアップデート (2013年)

ハミングバードは、キーワードに頼らずに検索クエリ全体の意味を解釈し、ユーザーの意図に合致するより適切な結果を表示するためのアルゴリズムのアップデートです。これにより、検索エンジンはキーワードの単純な一致ではなく、検索クエリの文脈や関連性をより深く理解するようになりました。

ユーザの入力内容、Webコンテンツの内容についての理解を、あたかも人間が受け応えするような、自然な処理を実現するための試みと言えます。

検索クエリの意図

ユーザーが何を求めているのか、検索クエリの意図をより正確に理解します。キーワードの単純な一致ではなく、検索クエリの文脈や関連性を考慮して、より関連性の高い結果を表示します。

e.g.) 徒歩10分=歩いて10分は同じ意味に解釈

ロングテールキーワードへの優位性

ハミングバードは、ロングテールキーワードに対しても優れた理解力を持っています。ロングテールキーワードはより具体的で詳細な検索クエリを表し、ユーザーの意図をより正確に反映する傾向があります。

自然な言語処理

ハミングバードは、自然な言語処理の技術を利用して、検索クエリやウェブページのコンテンツを解釈します。これにより、キーワードの単純なマッチングではなく、文脈や関連性に基づいた意味のある検索結果が提供されます。

e.g.) 高円寺駅から一番近いイタリアンレストランは?

HTTPS/SSLアップデート (2014年)

安全なウェブサイトを重視し、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)プロトコルを使用して、通信が暗号化されたWebサイトが評価されるようになりました。

Googleは、ユーザーのプライバシーとセキュリティを重視しています。HTTPSを使用することにより、ウェブサイトの通信は暗号化されデータ通信の安全性が向上します。これにより、ユーザーが個人情報や機密データを入力する際のセキュリティが向上し、情報漏洩や不正アクセスを防ぐことができます。

以前はフォームなどの個人情報やデータを入力するコンテンツのみSSLに対応していればよい、という風潮がありました。このアップデートを機に流れが変わり、個人企業問わず、サイト全体が暗号化されるようになりました。現在では、常時SSL通信が一般的になり、SSL通信に対応していないWebサイトはブラウザ上で警告表示がされるため、ユーザは警戒してコンテンツの閲覧をためらわざる得ないでしょう。

ベニスアップデート (2014年)

このアップデートにより、検索結果に検索者の位置情報が影響するようになりました。飲食店などの、現在地と検索結果が重要な意味を持つキーワードに関しては、検索者の現在地に応じて検索結果が調整されるようになりました。

e.g.) 「中華料理 人気」で検索すると、周辺のおすすめ中華料理店が検索結果に表示される

ドアウェイアップデート (2015年)

ドアウェイページと呼ばれる、検索エンジンのランキングを上げることを目的として作成された、通常は低品質で重複したコンテンツを持つページのことです。これらのページは、ユーザを本来の目的とは異なる場所に誘導するために設計されています。

e.g.) 「栃木 温泉」「群馬 温泉」「長野 温泉」といったキーワードで表示される、同じようなページを大量に作成し、最終的に別の特定サイトへ誘導させる

ドアウェイアップデートは、不正なSEOテクニックや検索結果を操作する試みに対抗するために行われています。サイト運営者は、ユーザーエクスペリエンスに焦点を当てた高品質なコンテンツの提供に努めることが重要です。

モバイルフレンドリーアップデート (2015年)

スマートフォンなどのモバイル端末で見やすいページが、評価されるようになったアップデートです。この頃から、世界的にもパソコンユーザよりもスマホユーザの方が多くなり、Googleでもパソコンファーストからモバイルファーストに評価基準の軸を変更することになりました。

これまではPCページしか作っていないサイトも多く、スマホでアクセスする際にはわざわざ拡大するなどして、小さな文字を読む必要がありました。モバイル端末で見やすいページが評価されることになり、多くのサイトがPCとスマホの両方に対応したレスポンシブウェブデザインを採用することになりました。

サイトがモバイルフレンドリーかどうかは、Google Search Consoleの「モバイルフレンドリーテスト」でチェックできます。

参考:モバイルフレンドリーテスト
参考:Google検索セントラル

Rank Brainアップデート (2015年)

RankBrainは、検索クエリやウェブページの内容を理解するための自己学習のことです。従来のアルゴリズムでは、キーワードに基づいて検索結果をランキング付けしていましたが、RankBrainはキーワードの意味や文脈をより深く理解することができます。

以下はRankBrainの例です。

検索意図の理解

ユーザーが「近くのレストラン」という検索クエリを入力した場合、そのクエリの意図を理解し、ユーザーが現在位置周辺のレストラン情報を求めていると認識します。その結果ユーザーの位置情報に基づいて、周辺のレストランが検索上位に表示されることが期待されます。

構文や語順の理解

「寿司 高級 おすすめ」という検索クエリが入力された場合、RankBrainはキーワードの組み合わせや文脈を考慮して、「高級でおすすめのお寿司屋に関する情報を提供するページ」を表示します。

類義語の理解

ユーザーが「携帯の価格比較」という検索クエリを入力した場合、RankBrainは「スマートフォン」という類義語を含むページも考慮に入れます。そのため、キーワードが完全一致しなくても、ユーザーが求める携帯電話の価格比較に関する情報を提供するウェブページが検索結果に含まれる可能性があります。

インタースティシャルアップデート (2017年)

「インタースティシャル広告ペナルティ」とも呼ばれ、モバイル検索においてユーザーエクスペリエンスの悪化をもたらすような形式のインタースティシャル広告を表示するウェブページに対して、ランキングの低下が行われました。

ページの表示が遅延するインタースティシャル広告

ユーザーがウェブページにアクセスした後、コンテンツの表示を遅延させるインタースティシャル広告の使用は、ユーザーエクスペリエンスへの悪影響とされ、ペナルティの対象となる可能性があります。

閉じる操作が困難なインタースティシャル広告

ユーザーがインタースティシャル広告を閉じる操作が難しいと感じてしまうような広告は、ユーザーエクスペリエンスに悪影響を与えるとされ、ペナルティが適用される可能性があります。
本来、ユーザーが見たいのは広告ではなく、検索キーワードを目的としたコンテンツです。ウェブサイト運営者は、ユーザーエクスペリエンスに配慮した広告の表示方法を考慮し、Googleのガイドラインに従うことが重要となります。

ちなみにGoogleアドセンスの全画面広告は問題ないのでしょうか。これに関してはGoogleのヘルプページに言及があります。

インタースティシャル広告はアプリの読み込み時や終了時に表示してはいけません。表示が許可されるのはアプリのコンテンツ(ページ)が切り替わるタイミングのみです。

ページ遷移のタイミングで表示されるので問題ないようです。笑

参考:Google AdMob ヘルプ

アウルアップデート (2017年)

攻撃的、差別的な表現や意図的に人々に誤解させうるコンテンツを対象に、Google検索アルゴリズムのアップデートがなされました。
その結果、デマや虚偽情報で注目させてアクセスを集める「フェイクニュース」や、故意に炎上させて拡散を狙う「炎上マーケティング」を狙ったコンテンツの検索順位が下がるようになりました。

健康アップデート (2017年)

日本語検索におけるページの評価方法のアップデートです。
医療や健康に関する検索結果の改善を意図したもので、例えば医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすくなりました。

参考:Google「医療や健康に関連する検索結果の改善について」

キュレーションサイト(まとめサイト)との関係

健康アップデートと切り離せないのがキュレーションサイトの存在です。「NAVERまとめ」に代表される、いわゆるまとめサイトは、個人や企業の多くの事業者が参入しました。

キュレーションサイトは、Google検索ランキングでも優位と評価されており、検索結果の上位が多くのキュレーションサイトで埋め尽くされるという状態が続きました。
しかし、キュレーションサイトの中には、特に医療カテゴリーにおいて根拠のない信頼性の薄いサイトが多く存在しました。そのような信頼性の薄いサイトが上位表示されていたため、コンテンツの内容を信じたユーザに、悪影響が及ぶ可能性が危惧されていました。

特に、医療情報を多く掲載していた、ヘルスケア情報キュレーションサイト「WELQ」の問題は深刻でした。不正確な内容や著作権侵害・医師による監修がない医療記事が大量に存在するという異常な状況にも関わらず、運営会社は責任をまったく認識していませんでした。一部の有識者が声をあげ、社会問題へと発展することで、結果としてインターネットに存在する情報のあるべき姿が見直されるひとつのきっかけとなりました。「お金」や「健康」などの生活に大きく影響するコンテンツにとっては、この一連の変化はとても重要なものでした。

スピードアップデート (2018年)

ページの読み込みスピードが評価基準に加わりました。表示速度の遅いページはマイナス評価が与えられるようになりました。
読込みスピードが遅いと、ユーザーエクスペリエンスの低下を招き、ユーザの離脱にも繋がりかねません。

サーバやネットワークなどのインフラ設計をはじめ、画像やソースコードの圧縮などのアプリケーションレベルの速度改善を意識することが重要です。

ページスピードに関するパフォーマンスは、Googleの提供するPageSpeed Insightsで検証することが可能です。

参考:Google「PageSpeed Insights」

BERTアップデート (2019年)

BERTは(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は機械学習を用いたアルゴリズムアップデートです。

GoogleはBERTについて「大きな飛躍」と表現。学習プロセスの精度が著しく向上し「AIが人間を超えた」と話題になりました。
単語の組み合わせから文脈を正確に読み取り、意味や意図を考慮した検索結果を表示できるようになった点が重要です。

コアアルゴリズムアップデート (2020年〜)

コアアルゴリズムアップデートは、Googleが定期的に行う重要なアルゴリズムの変更です。年に2〜3回行われていて、検索結果のランキングや表示に大きな影響を与えることがあります。コアアルゴリズムアップデートは、一般的に広範な検索結果に対して影響を及ぼすことがあります。

コアアルゴリズムアップデートは、Googleの検索エンジンの基盤を改善し、ユーザーがより品質の高いコンテンツを見つけやすくすることを目的としています。

具体的なアップデートの内容は、アップデートごとに異なります。Googleは透明性を重視しており、一部の重要なアップデートに関して公式に発表されることもあります。これにより、ウェブサイト運営者はアップデートの内容や影響について理解し、対策を取ることができます。

2014年に登場した品質評価ガイドライン「E-A-T(E-E-A-T)」の概念とも深く関係してきます。併せて確認しておきましょう。

ページエクスペリエンスアップデート (2021年)

ページエクスペリエンスアップデートは、Googleが2021年6月に導入したアルゴリズムの変更です。このアップデートは、ウェブページのユーザーエクスペリエンス(UX)を評価し、ランキングに影響を与えることを目的としています。良いパフォーマンス、使いやすさ、セキュリティを重視したウェブページが上位にランク付けされる可能性が高くなります。

コアウェブバイタルス(Core Web Vitals)

ユーザーがウェブページを読み込む際のパフォーマンスに関する指標です。具体的には、ラージコンテンツフルーム(Largest Contentful Paint:LCP)、ファーストインプレッションディレイ(First Input Delay:FID)、クラムズ(Cumulative Layout Shift:CLS)の3つの指標があります。これらの指標は、ウェブページの読み込み速度、対話性、視覚的な安定性を測定し、ユーザーエクスペリエンスの向上に寄与します。

モバイルフレンドリネス

ウェブページがモバイルデバイスに適応しているかどうかが重要な要素とされます。モバイルフレンドリネスは、モバイルデバイスでの視認性や操作性を考慮したデザインやレイアウトの実装を指します。

安全なブラウジング

ウェブページがセキュリティに関連する問題を持たないかどうかが重視されます。HTTPSの使用、セキュリティの脆弱性の修正、マルウェアやフィッシングへの対策などが含まれます。

スパムアップデート (2021年)

スパムアップデートは、不正なSEOテクニックや検索結果の操作に対抗し、ウェブ上の品質と信頼性を向上させるために行われます。ウェブサイト運営者は、適切なSEOのベストプラクティスを実践し、ユーザーエクスペリエンスに配慮した高品質なコンテンツの提供に努めることが重要です。

まとめ

Googleの代表的なアップデートを時系列で解説してきました。

紹介したアップデート以外にも、実際にはさまざまなアップデートが行われています。Googleのアップデートは、ウェブマスターガイドラインやベストプラクティスに従い、高品質なコンテンツ、優れたユーザーエクスペリエンス、正当なSEO手法を実践することが重要です。

日常的にアップデート情報をキャッチアップしつつ、実践あるのみですね。

アップデートによってランキングに影響を受けた場合、問題点を分析し改善策を見つけることが求められます。コンテンツの品質向上、ユーザーエクスペリエンスの改善、テクニカルな最適化、リンクプロファイルの管理など、総合的なアプローチが重要です。